蛙と献華の作品を制作しています。
蛙について。
臆病で貪欲で、純粋に生きる姿に共感を覚え、
蛙の作品を作っています。
こうでありたい、という祈りの気持ちを込めています。
献華について。
献花とは、花に想いを託し、捧げるという行為の事を言います。
蛙作品ばかりつくっていた時に、初めて献花を経験しました。
必ず儚く消えてゆく人の存在や感情を、
どうにかしてこの世界に残したい。
喜びや悲しみ・・過ぎてゆく一瞬の感情を、繋ぎとめたい。
その思いをやきもので表現しようと試みています。
なぜ、やきもので表現するのか。
人とやきものは、似ていると考えています。
やきものは、粘土の時には自由に形を変えますが、
高温で焼成されると全く違う性質になり、永く世に残る存在となります。
人も、焼かれて形を変えるかわりに、残った人の心にずっと永く残る存在に変わります。
人と似ているやきものだからこそ、人を表現できるのではないかと考えました。
一瞬一瞬を留めるように、やきものの土を中心から外側に紡ぐと、
内側は過去になっていきます。
時を重ね、土を紡いでいくと花のように見えます。
想いを載せた花を、捧げる献華の作品。
生花での献花は一度だけ。
やきもので造る献花は、幾たびも捧げるという意味を込めて
「献華」と字を変え造語を使っています。
生きている限り、過ぎ去っていく瞬間の感情をこれからも、
蛙と献花、そしてやきものを通して残していきたいと思っています。
2015年8月27日
杉山智佳子